はじめに
経営工学に関連したキーワードを学習していて気付いたことがあります。
「多面的な視点が養われ、汎用性がめちゃ高い!」
「技術士二次試験の経営工学部門に限らず、多くの部門に応用可能な知識や方法論が満載!」
ということで、技術士二次試験(経営工学部門)の対策をしている時にまとめてきたキーワード集をほとんどそのままご紹介!
本経営工学キーワードシリーズの記事の特徴として、ある1つのキーワードをについて
- キーワード名
- キーワードを取り巻く背景
- 原理と特徴
- 問題点
- 解決策
- 応用例
- 今後の展望
これらのような、あるいはこれらに近い視点でまとめています。
これはそのまま、技術士二次試験対策に直結するまとめ方です。
このシリーズの記事は次のような方にオススメです!
- 技術士二次試験(経営工学部門)受験予定の方
- 技術士二次試験(経営工学部門以外)の受験予定の方
- 技術士に興味はないけど、経営工学を勉強したい方
ぜひそれぞれの目的に合わせて勉強にもお役立てください!
キーワード名
SDGsの9番目の目標「産業と技術革新の基盤をつくろう」
背景
〇そもそもSDGsとは
- SDGsとは、Susutainable Development Goalsの略で、「持続可能な開発目標」という意味
- 2001年策定のミレニアム開発目標(MDGs)の後継
- 2015年の国連サミットで加盟国全会一致で採択され、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された
- 17のゴールと169のターゲットから構成される
- 「地球上の誰一人取り残さない(leave no one behind)」を誓う
〇9番目の目標
9番目の目標『産業と技術革新の基盤を』のテーマは「強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」である。
このテーマのもと8つのターゲットから構成される。
強靭とは「強くしなやかなこと」
レジリエントとは「速やかに元の状態に回復する能力・性質」のこと
つまり自然災害などに遭っても、速やかに元の状態に回復できるインフラのことを「強靭なインフラ」と呼んでいる。
以下、9番目の目標を構成する8つのターゲットについて要点のみ示す。
- 9-1.安価で公平にアクセスできる経済発展・福祉を支援するために、質の高い・信頼できる・持続可能・強靭なインフラの開発
- 9-2.包摂的かつ持続可能な産業化を促進し、雇用及びGDPに占める産業セクターの割合を大幅に増加させる
- 9-3.発展途上国の小規模企業への金融サービス・市場参入へのアクセス拡大
- 9-4.資源利用効率の向上・クリーン技術・環境に配慮した技術の拡大
- 9-5.イノベーション促進・研究開発従事者数増大を図り、産業セクターの科学研究・技術向上を支援
- 9-a.開発途上国における強靭(レジリエント)かつ持続可能なインフラの開発促進
- 9-b.開発途上国の技術開発・研究・イノベーションを支援
- 9-c.後発開発途上国などに対し、2020年までに普遍的かつ安価なインターネット・アクセスを提供できるように図る
ターゲットについては以上。
先進国、開発途上国、後発開発途上国の言葉について以下の通り整理する。
- 先進国:「政治や経済、文化などの面で、国際的な標準よりも進んでいる国」の意。
- 開発途上国:「開発・発展の途上にある国」という意味の言葉。
- 後発開発途上国:「開発途上国の中でも特に開発が遅れている国」の意味。
英語ではDeveloped country, Advanced countryなどと表現する。
一般的には、1人あたりの実質所得が低く、一次産品(特に農業)の比重が高い産業構造を持つ国を指す。
英語では「developing country」と表現する。
英語では、Least Developed Country。
LDCリストによって認定され、「所得水準が低い」「人的資源に乏しい」「経済的に脆弱」といった基準とともに、当該国の同意が必要となる。
なぜ、9番目の目標が必要なのか
開発途上国において、基礎インフラ(電気・ガス・水道・インターネットなど)が未整備であることが、
- 人々の生活水準向上
- 持続可能な産業発展につながる技術革新
の妨げになっている。
また、先進国、途上国問わず、自然災害に見舞われたときにいち早く元の状態に回復できるレジリエントなインフラ構築が世界的に求められており、これからの持続可能な世界のために必要不可欠である。
このような状況から、9番目の目標に必要性がある。
インフラ未整備による問題点
開発途上国のインフラ事情は、
- 安定的な電力需要を受けられない人の数 約26億人
- 基本的な衛生施設を利用できない人の数 約25億人
- 水資源にアクセスできない人の数 8億人
- 信頼できる電話サービスが利用できない人の数 約15億人
- 企業の生産性が損なわれている割合 約40%
- 開発途上国で生産される農作物の割合 約30%(高所得国の3分の1)
インフラが整備されることのメリット
- 企業の生産性の向上(理想の生活を実現するための意欲がわく)
- 雇用の創出
- 安定した収入
→SDGsの8番目の目標「働きがいも経済成長も」の実現にもつながり
さらに、安定した収入のもとで貧困から抜け出し、満足な教育が受けられるようになった子が増える。
→4番目の目標「質の高い教育をみんなに」
にもつながる。
つまり、災害に強くいち早く回復できるインフラを整備することは、SDGsの目標を実現するための欠かせない基盤となっている。
取組事例
「watly」
アフリカのガーナでテストされたソーラーを活用した装置。
太陽光発電で蓄電・共有し、貯めた電気を使って不衛生な水を濾過・煮沸・蒸留しクリーンで安全な飲み水にする。
さらに、交通や配線が整っていない僻地にも無線インターネットを接続できる。
これまでにもあった太陽光発電と新しい技術革新が融合し生活水準の向上や教育の質の向上に期待が高まる。
さらにEUからの出資を受け、5万人の雇用創出など波及効果も大きい。
将来の展望
技術革新はあるゆるSDGsの連鎖をもたらすと考えられる。
〇インターネットの普及で
- 目標4:質の高い教育をみんなに
- 目標1:貧困をなくそう
- 目標2:飢餓をゼロに
〇クリーンな水の確保で
- 目標6:安全な水とトイレを世界中に
- 目標3:すべての人に健康と福祉を
〇クリーンなエネルギー開発により
- 目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
- 目標13:気候変動に具体的な対策を
〇エネルギー事業創出により
- 目標8:働きがいも経済成長も
このように次々にSDGsの目標が連鎖して、目標達成に波及できる。
以上
参考元
SDGsジャーナル
社会人の教科書
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