【経営工学キーワード】販売戦略と需要予測

経営工学
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はじめに

経営工学に関連したキーワードを学習していて気付いたことがあります。

「多面的な視点が養われ、汎用性がめちゃ高い!」
「技術士二次試験の経営工学部門に限らず、多くの部門に応用可能な知識や方法論が満載!」

ということで、技術士二次試験(経営工学部門)の対策をしている時にまとめてきたキーワード集をほとんどそのままご紹介!
本経営工学キーワードシリーズの記事の特徴として、ある1つのキーワードをについて

  1. キーワード名
  2. キーワードを取り巻く背景
  3. 原理と特徴
  4. 問題点
  5. 解決策
  6. 応用例
  7. 今後の展望

これらのような、あるいはこれらに近い視点でまとめています。
これはそのまま、技術士二次試験対策に直結するまとめ方です。

このシリーズの記事は次のような方にオススメです!

キーワード名

販売戦略と需要予測

定義、背景、必要性

〇定義
自社の提供するプロダクトやサービスの短期的あるいは長期的な需要を予測するもの。
需要予測は仕入れ、生産、販売、人員配置、設備投資、資金調達などの計画策定を大きく左右し、企業活動の根幹に関わる極めて重要な業務となっている。

〇背景
需要予測は従来の数値を踏襲したり、経験や慣例を重視しがち。
しかし、グローバルでの競争が激化し、さらにリードタイムが短くなっている傾向である。
コスト競争も激しく、需要予測の判断ミスは、ビジネスチャンスの機会損失や過剰在庫につながりかねない。
企業の利益最大化のためには、精度の高い需要予測が不可欠となっている。

現在、企業には長期の販売データが蓄積されるようになっており、これらをベースにした需要予測が可能になっている。

〇必要性
需要者の要求納期に余裕がある場合は、受注してから、製造業では生産を開始し、流通業では製品の調達をかけることができる。
しかし、納品までのリードタイムが短縮化される傾向にあり、見込み生産や見込み調達を避けることができなくなってきている。

そのため、需要予測の必要性があり、あらかじめ売れる量を見越して、生産したり、調達したりすることが求められる。

需要予測の方法(2つ)

  1. 時系列分析法
  2. 過去数年間の販売実績や価格傾向などを分析し、この推移を基に、将来の変化を予測する方法

  3. 移動平均法
  4. データの変動が細かく、全体的にどのような周期や傾向で動いているのか予測が難しい時に使われる手法。
    1年前の同じ月の前後数カ月分を平均することにより、今年の予測を行う。

問題点

〇売上予測の精度が悪い
まず、需要予測の立案には「営業側」と「受給調整側」の2つの立場がある。
営業側にありがちな問題として、売り上げの予測精度が低いことが挙げられる。
その原因として、

  • 営業は機会損失を恐れるため、過剰な生産や在庫確保を要求しがち
  • 営業には目標があるため、実際の需要よりも営業目標に近づけた予測をしがち
  • 営業担当者は細かな営業品目の意識が希薄でグロスで売り上げ目標が達成できればOKとしがち
  • 会社側も、目標売上さえ達成できれば評価せざるを得ない

〇生産品目が多すぎる
営業の売上予測とは別に、需給調整部門(生産部門も含め)が営業の売上予測を受け取って、需要予測を立案している企業もある。
この場合、営業の売上予測は参考データとなる。

営業の売上予測を生産側で精査する際に、売上予測が大雑把な場合があり、個々の製品に落とし込むのに時間を要する。
それが数百数千品目に及ぶと、数品目、数十品目と同じ精度での予測が難しくなる。

ABCランクの主要Aランク品だけに注力し、数の多いBランク、Cランク品が疎かになるケースが多々ある。
生産品目が多くなると、時間がかかるだけでなく不注意によるミスも発生しやすくなる。
生産や調達ミスは経営にも大きなインパクトを与える。

膨大な品目の正確な予測は人間系だけでは限界がある。

〇需要予測業務の属人化
需要予測には高度なノウハウが必要であることから属人化しやすい。
ベテランの退職や人事異動などにより、新人が育たず即戦力にならないケースが多く、人材流動の硬直化を招く。

解決策

発注や調達の根拠づくりに予測精度の高い需要予測システムのレポートが必要。
特に外資系企業に多いが、フォーキャスターと呼ばれる需要予測担当者が需要予測の根拠資料として需要予測システムのレポートを使用していることがある。
不確かな勘や経験に頼ることなく、確固としたデータの推移から需要の予測をしていることを証明している。

適用例

需要予測には、次の2つが大きな目的である。

  • 工場での生産量を最適化する(製造)
  • 調達量を最適化する(流通)

上記以外でも次のような目的で必要となる。

〇保守部品の確保
製造業や販売店では保守部品の確保が必須となる。
製品を販売すると、保証期間として3年から5年は修理用の保守部品を確保していなければならない。
トラックなどの輸送機器になると、20年以上保守部品を確保する必要がある。
これを怠るとお客様満足度が著しく下がり、リピート購入につながらない。
 
ここで問題となるのが確保するべき保守部品の総数です。

製品数が数百であればストックするべき保守部品は数万から数十万に及ぶ。
とても人間系で管理できる品目数ではない。
過不足のないよう、需要予測システムによる生産や調達管理が必要となる。

〇要員計画と設備計画
生産に必要なのは材料のみならず、「人」と「設備」も必要。
工場出荷や倉庫出荷の量を予測して、必要となる人員や設備を予め整えることが重要。
そのツールとして需要予測システムが有用。

〇POSシステムからの自動発注
人間系に頼ることなく、需要予測システムとPOSシステムを連動させ、しきい値を超えた商品を自動発注するシステムも見られる。
ホームセンターや食品スーパーではPOSシステムからリアルタイムに販売データを収集し、必要な量を自動算出し、在庫を切らすことなく店舗に補充できるようにしている。
数十店、数百店舗の規模となると、発注担当者の手間が膨大になるが、このシステムにより大幅に省力化できる。

〇医療・セキュリティサービス
医療やセキュリティに必要な備品や消耗品も需要予測システムにより自動発注がかけられる。
医療では治療薬や検査薬が、セキュリティではセンサーや監視カメラなどがその対象となる。

〇エネルギー関係(電力・ガス・水道)
社会インフラとなる電力・ガス・水道なども過去の消費量や気象情報などのデータから、供給計画と設備計画の立案が可能となる。
とりわけ、電力の供給不足は大きな問題となることから、極めて高い精度での需要予測が求められている。

〇金融
金融では振込件数の予測から、人員計画を立案している。
突如発生する天災などの募金キャンペーンでは、振込件数が突発的に跳ね上がることから、慎重な人員計画が必要となる。
また、海外ではATMにストックする紙幣の量に需要予測システムが使用されている例もある。

今後の展望

需要予測は幅広い業種・業態で利用されており、いずれも人間系を超える精度が求められている。
これらに対応するシステムを開発するベンダーが増えてきている。

例えば、以下のような予測手法群を取り入れているシステムがある。
例)日立ソリューションズ東日本の提供する需要予測支援ソリューション「ForecastPRO」より

  • 指数平滑法
  • ボックス・ジェンキンス法
  • 離散データモデル
  • 簡易モデル
  • クロストン周期性モデル
  • 類似モデル(新製品の予測)
  • 単純移動平均法
  • 曲線近似法
  • バスモデル(新製品の予測)
  • 動的回帰分析  など

データの傾向から、最適な予測手法を自動選択し、予測モデルを構築することなどが機能として備わっている。
以上のように統計モデルを用いた予測手法は今後ますます発展すると考えられる。

参考

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