はじめに|脳内の整理整頓にはコレ!
この記事を書く前に、品質管理手法である親和図法や連関図法などを含む新QC7つ道具の記事を書いていました。
新QC7つ道具については下の記事参照。
一方で、頭の中を整理するのにたまに使うマインドマップの事をふと思い出しました。
「おや?親和図法と連関図法の組み合わせってなんかマインドマップに似てる。」
そう、親和性の高いものを近くにまとめてグルーピングし、関連性のあるものを線で結ぶ。
まさにマインドマップにもそのような要素があることに気づいたのです。
そこで今回はマインドマップを中心に、言葉を図的に整理するという新QC7つ道具との共通点などについてまとめていきます。
マインドマップとは何か
マインドマップとは、イギリスのジャーナリストであるトニー・ブザンが開発した情報整理の方法と言えます。
- マインド(mind)は心、精神、ある物事に対する意識
- マップ(map)は地図
ですので、心や意識的に浮かんだモノを地図のように描く手法と考えてもいいでしょう。
マインドマップは「脳内の自然な活動(連想やイメージ)」を「そのまま記すことのできるノート術」という言い方もできます。
言葉で説明するよりも、実際の例を見てみた方が早いでしょう。
こんな感じです。
言葉と言葉が線でつながっているのが分かりますね。
文字や線は大きいもの、小さいもの、太いもの、細いもの、色付きのものなど様々です。
このノート術と呼ぶにはちょっと遊び心があり、整然と並べたものではないというところがポイントです。
生き生きと、時には混とんとした、まるで頭の中身そのもののように描くというのがマインドマップの特徴と言ってもいいでしょう。
ちなみに、この上の例は品質管理や科学的な実験などで使用する統計的手法をマインドマップでまとめたものです。
例えば、本の目次のように系統立って書くとこんな感じです。
いかがでしょうか。
目次風にすると整理されていて見やすいですが、視覚的インパクトは大分違いますね。
その時々の目的や好みもありますが、脳内に配置するようにマップ化してみるというのも悪くなさそうですね!
この記事を一通り読んでいたいただき、マインドマップについてより理解を深めたいという方にはこの本がオススメ!
「マインドマップ 最強の教科書」
- 著書:トニー・ブザン
- 出版社:小学館集英社プロダクション
電子書籍版はこちら
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マインドマップの開発者、トニー・ブザン氏が著者の最強の教科書ですので間違いないですね!
マインドマップの構成要素
マインドマップには4つの構成要素があります。
それぞれの意味と役割を押さえて書くようにすると効果的ですよ。
- セントラルイメージ
- BOI(Basic Ordering Ideas:見出し)
- メインブランチ
- サブブランチ
- キーワード/イメージ図
- 色(3色以上が望ましい)
の6つです。
必ずしもこの全ての要素を盛り込まないといけないわけではありません。
しかし、情報をイメージ化し、視覚的に訴えるものとするためには、これらの要素を漏れなく入れることが推奨されます。
それぞれの要素は図的には下記のように配置されます。
それぞれの用語の意味を解説します。
セントラルイメージ
マップの真ん中に書くキーワード又は絵です。
つまり、マインドマップ化したい概念の「核」となるものをマップ中央に描きます。
これが基本であり、マインドマップを描く上でのスタートとなります。
カラフルに色を付けたり、太字にしたり、キャッチ―な印象の絵にしたりといった工夫をするといいでしょう。
BOI
BOIとはBasic Ordering Ideasの略です。
セントラルイメージが出来たら次に書いてほしい要素がBOIを書いていきます。
基本的にセントラルイメージは1つのマインドマップにつき1つですが、BOIは複数存在します。
BOIはセントラルイメージから第一に浮かび上がる一階層下のイメージといった意味合いです。
セントラルイメージがタイトルだとすると、「BOIは大見出し」と言ってもいいでしょう。
「いろはに金平糖」の歌をご存知でしょうか。
いろはにこんぺいとう♪
こんぺいとうは甘い 甘いはお砂糖
お砂糖は白い 白いは兎
兎は跳ねる 跳ねるはかえる・・・
と続いていくアレです。
例えば、
セントラルイメージを”金平糖”にしたら、BOIは”甘い”となります。
もちろん、BOIとして”お菓子”、”トゲトゲ”、”カラフル”、”硬い”etc.第一イメージとして浮かぶもの何でもアリです。
他には、
セントラルイメージを”自動車”にしたら、
BOIは”タイヤ”、”フレーム”、”エンジン”といった構成パーツでもいいですし、
“トヨタ”、”ホンダ”、”ニッサン”など、メーカをイメージしてもいいでしょう。
要は「自由」です!
自由で柔軟な発想こそがマインドマップの要と言ってもいいでしょう!
また、BOIやキーワードは図に示したように丸・四角・ひし形・吹き出し・ギザギザなどなど、好きな枠で囲ってみたり、絵を添えてみたりしてもいいですね。
メインブランチ
セントラルイメージから放射状に伸びる樹状の枝のことです。
ブランチの形は、脳内の神経細胞であるシナプスのように関連性のある事項を結んでいくイメージです。
セントラルイメージ同様、視覚的に訴える要素が重要なため、太さに緩急を持たせたり曲線で描くことが推奨されています。
でも、お好みで「太さ均一、直線派!」という方はそれでもOKです。
細かいルールは気にしないようにしましょう。
サブブランチ
ブランチからさらに枝分かれした樹状の枝です。
メインブランチより細く描くイメージです。
細く描く意味としては、核であるセントラルイメージから距離が出てくるため、関連性が低くなることと、絵的なバランスがいいということもあります。
このような工夫が記憶の定着を促す要因にもなりますので、ちょっと意識しておくといいでしょう。
キーワード/イメージ図
マインドマップ上に描くものは、基本的にキーワード又はイメージ図です。
文章は極力書かずに、せいぜい短いフレーズに留めましょう。
また、ワードに拘らず図や絵も多様していきましょう。
絵が苦手な方は無理する必要はありませんが、絵が得意な方は遠慮せず絵も入れちゃってください。
色
色も是非多用してください。
3色以上が推奨とされていますが、その辺は拘らずここは強調したいから赤、ここはクールな印象で青、などお好みで着色してください。
マインドマップの効果|全脳思考の活性化
よく右脳と左脳の役割は以下のように異なるとい言われますよね。
- 左脳:理論、数値、順序、分析、言語、リスト
- 右脳:空間認識、想像、色、全体認識、空想、次元
このことは1981年にノーベル賞を受賞されたスペリー博士の研究により発見されています。
しかし、ここで重要なのは、芸術性は右脳だけを、論理性は左脳だけを使っているわけではない、ということです。
その後に続く研究で、優位になることはあっても、左右を繋ぐ脳梁(のうりょう)という神経線維のケーブルを介して、思考や認識の対象が何であれ両方の脳が使われている、ということが分かってきました。
脳は絶えず右と左で情報交換をしていて、脳の両側を同時に刺激すればするほど、共同作業はスムーズに働くように鍛えられ、相乗効果的に思考力や記憶力、想起力の向上に繋がっていきます。
最近、右脳を鍛えることなどが重要視されている背景には論理性ばかりを追求する左脳的思考へ偏りが生じていたことがあるのかもしれません。
そこで助けとなる重要なツールがマインドマップと言えます。
マインドマップは、脳内で起こる情報伝達を模倣しています。
中心となるテーマから放射状に、木の根や枝のようにしてキーワードやキーイメージが連鎖的に広がっていきます。
その様々な連鎖や連想の中に左脳的な論理・順序・分析の要素、また右脳的な想像・色・空想の要素が織り交ざっています。
左右両方を駆使する全脳思考を促すにはもってこいのツールがマインドマップです。
マインドマップを描くツール
マインドマップの意味・構成要素・効果は大体分かったけど、そもそも何を使って書けばいいの?
という疑問にぶつかりますよね。
マインドマップを描くツールは大きく分けて、「手書き」と「パソコン」に分けられます。
どちらでも自分の好きなやり方やシーンに合わせて使い分けるといいでしょう。
手書きの場合
手書きの場合に用意するものは、
- 無地の紙
- カラーペン
※A3もしくはA4など、ある程度大きいもの。専用のノートを準備してもいいでしょう。
※サインペン、ボールペン、色鉛筆などお好みのものでOK
です。
マインドマップの作成に当たっては無地の紙に限ります!
罫線やマス目などが入っているものは自由な発想の妨げになりかねないので、白一色の無地がオススメ!
描く手順はいたってシンプルの3Step。
①紙のど真ん中にセントラルイメージを描く(キーワードでも絵でも何でもOK)
②BOI or メインブランチ好きな方から書いていく
③サブブランチ or 思い浮かぶキーワードなど好きな順、好きな位置に書き加えていく
以上
要は中央から徐々に外側に向けてイメージを広げていけばOK!
いろんな色を使って自由に書いちゃってください。
パソコンを使う場合
パソコンを使う場合は、それ相応のソフトウェアを準備する必要があります。
マインドマップを描くソフトウェアは無償・有償含め多くのものが存在します。
気になる方は、「マインドマップ ソフト or アプリ」などで検索してみると沢山出てきますよ。
私のお勧めは「EdrawMind(エドラマインド)」もしくは「Microsoft PowerPoint」です。
それぞれのメリットとデメリットを整理します。
「EdrawMind(エドラマインド)」はこちらよりダウンロードできますよ!
https://www.edrawsoft.com/jp/edrawmind/
ーメリット-
・無償(一部有償のみのオプションはあるが、無償で正直十分!)
・マインドマップ作成に特化しているため、とにかく手軽に速く作れる
※キーワードを入力するだけで、勝手に枝も増やしてくれる
・キーワードの色・フォント・配置、枝の色・太さ・デザイン、背景色etcのカスタマイズも容易
ーデメリット-
・PowerPointのような汎用ソフトではないので新たなインストールが必要
・jpgやpngなど各種画像ファイル出力も可能だが、無償版だと透かしとロゴが入ってしまう
※下の例参照
ーメリット-
・汎用ソフトなので、改めてのインストールが不要な場合が多い
・汎用ソフトなので、多くの人が使い方に慣れている
・プレゼン資料などにダイレクトに使いまわせる
ーデメリット-
・有償
・色・線の太さ・配置・背景etc.のカスタマイズが可能だがEdrawに比べかなり面倒
他にもあるかもしれませんが、ざっくりと両者を比べるとこのような違いがあります。
私は断然「EdrawMind」が好みです。
理由は、カスタマイズが容易!
これに尽きます。
実際使ってみると分かりますが、色や太さなどが直感的に変えられるのはもちろん、勝手にきれいに配置してくれるのでそれが便利!
かなり、ストレスフリー!
PowerPointだと、配置の自由度は高いですが、全て手作業で行う必要があるため、私のようなせっかちな人間には苦痛となります。
両方のソフトで作成したマインドマップを比較してみましょう。
いかがでしょうか。
あくまで、私がちゃちゃっと作ったものですので、仕上がりは当然人によって、あるいは拘り方によっていかようにも変わります。
ちなみにEdrawMindの無償版の場合、上図のように”透かし”と”ロゴ”が画像データへ変換する時に入ってしまいます。
これが嫌な場合は、有償のライセンスを取得するか、裏技的にはPrintScreen(画面キャプチャのハードコピー)を使うと透かしとロゴは外せますよ!
一参考程度にしていただき、まずは使いやすそうなソフトで早速作ってみるというのをオススメします。
コラム1|古来の記憶術~マインドマップのヒントは太古から存在していた~
誰しも、
「もっと記憶力を身に着けたい」
「楽に多くの事を記憶できるテクニックはないかな」
なんて思ったことありますよね。
記憶に関するテクニック、つまり記憶術には古い歴史があります。
人間、国境を越えて誰しも昔から同じ悩みを持っていたのですね。
時は古代ギリシャにさかのぼります。
今から約2,500年前、古代ギリシャの詩人シモニデス(紀元前556年頃 – 紀元前468年)が用いた方法に「メモリーパレス(記憶の宮殿)」と呼ばれる方法があります。
他にも、こんな呼ばれ方もされます。
- 場所法(Loci法)
- ジャーニー法
- マインドパレス法
呼称は様々ありますが、同一の方法を指していると考えて差し支えないようです。
記憶の宮殿は以下の3STEPで記憶する方法です。
- 記憶を置いておく「場所」の設定
- 記憶を引っ張り出す「トリガー」の設定
- トリガーに「イメージ」を置く
といった感じです。
要は、脳内に記憶したいものを物理的な現実世界に引きずり込んで、ポンとそこに置いてしまうのです。
舞台としては家の中でも、職場でも、通勤通学途中でもどこでもいいのです。
現実世界に記憶の対象(モノ)を置いてしまうことでモノとモノとが有機的なつながりを持ちます。
もちろん、その対象は有形・無形問いません。
頭の中でイメージさえできてしまえばいいわけです。
記憶力を鍛えたい人は騙されたと思って日常の生活で試してみるのもいいかもしれませんね!
コラム2|あなたの第一言語は?
みなさん、このような質問をされたらなんて答えますか?
「あなたの第一言語は?」
恐らく、この記事を読んでくださっている方はほとんど日本人でしょうから、
「日本語です」
と答えると思います。
しかし、マインドマップの開発者トニー・ブザン氏はこう言っています。
「第一言語は、母国語ではない」
と。
「えー!?どういうこと?」
つまり、第一言語というものはこのような特徴を持っていることを指しています。
- 日本語、英語といった人工的なものではない
- 胎児のころから持つ自然言語
- イメージ、想像、連想など
私は、なるほどなーと思いました。
確かに、言葉を知らなくても人間は感情を持つし、思考も学習もできる。
それは人間に限らず、他の動物も一緒。
それらの感情を整理・表現・伝達する手段として日本語や英語といった人工的な言語を使っているに過ぎない。
真の第一言語は生まれながらに備わっている、と考える方が自然だろうと思います。
まさに、その第一言語を絵や人工言語もうまく取り入れながら表現したものがマインドマップというわけです。
このように考えると、外国語やコンピュータ言語を学習したりする姿勢や見方も変わってきそうですよね。
まとめ
いかがだったでしょうか。
是非マインドマップについて身近に感じていただき、仕事や性格の中で活かしていけるといいですね!
さらっとまとめていきます。
- はじめに|脳内の整理整頓にはコレ!
- マインドマップとは何か
- マインドマップの構成要素
- マインドマップの効果|全脳思考の活性化
- マインドマップを描くツール
- コラム1|古来の記憶術~マインドマップのヒントは太古から存在していた~
- コラム2|あなたの第一言語は?
QC7つ道具の親和図法や連関図法などのフレームワークとも共通点のあるマインドマップ。
頭の中がごちゃごちゃした時や、分かりやすく説明したい場面などで役に立ちます!
マインドマップとは、イギリスのジャーナリストであるトニー・ブザンが開発した情報整理の方法です。
「脳内の神経細胞をそのまま具現化した」そんなイメージを持つといいのかもしれません。
・セントラルイメージ
・BOI(Basic Ordering Ideas:見出し)
・メインブランチ
・サブブランチ
・キーワード/イメージ図
・色(3色以上が望ましい)
必ずしもこだわる必要はありませんが、迷ったときはこれらの要素を取り入れながら描いていくといいでしょう。
なかなか意識していないと、論理的思考を司る左脳にリソースが偏りがち!
直感や芸術性が優位な右脳もバランスよく使うには全脳思考の活性化を促す意味でもマインドマップがオススメ!
手書きとPCを使った方法、どちらでもお好みの方法で構いません。
PCを使う場合、EdrawMindの無償版でもかなり便利なのでオススメです!
記憶力を高めたいという願望は今も昔も変わりません。
古の知恵とも共通点の深いマインドマップには信頼と実績がありますね!
第一言語は日本語や英語と言った人工的言語ではありません。
言葉になる以前のイメージ・感覚・感情・思考、これらこそが第一言語と捉えるとマインドマップ対する向き合い方も変わりますね!
以上まとめでした。
最後に参考書籍を紹介します。
参考書籍
マインドマップについて勉強する上で参考になる書籍がこちら。
「マインドマップ 最強の教科書」
- 著書:トニー・ブザン
- 出版社:小学館集英社プロダクション
電子書籍版はこちら
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この本以外にもマインドマップ関連の書籍はいろいろあります。
ただ、こちらはマインドマップの開発者 トニーブザン氏が著者ですから王道といったところでしょうか。
“最強”の教科書ですからね。
マインドマップをケーススタディー的に学べる活用事例なんかも豊富に掲載されています。
興味のある方はぜひ読んでみていただきたいです。
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