【心理学】クールな意思決定を促進する「将来割引」

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はじめに

将来の健康のためには今これを食べてはいけない。
将来、多くのお金を手にするためには、今あるお金を投資に回さなくてはいけない。
将来、資格試験に合格するためには、今から地道に勉強しなくてはいけない。

このようなクールで賢明な意思決定がなかなできないことってありますよね。
というより、ほぼこんな感じの意思決定を後回しにして日々過ごしてしまいますよね。
でもそれってある意味人が人である以上、いや動物である時点である意味当たり前なんです。

目の前の甘い誘惑に打ち勝ち、意志力に任せず合理的にクールな決定を下して行動する。
それを後押しするため、「将来割引」について理解しましょう。
正しい知識は人生における超強力な武器!
きっと人生変わるはず!

この記事の参考とした書籍が著 ウォルター・ミシェル氏の「マシュマロ・テスト 成功する子・しない子」です。

マシュマロ・テスト、聞いたことくらいはあるでしょうか。
心理学的にはよく登場するワードです。
一見子どもに教育するための本のようですが、それだけではありません。
むしろ大人、社会人こそ自分のために読んでほしい超良書です。
本当に参考になることが科学的根拠を元に詳しく書かれていますので、その中からほんの一部紹介します。

将来割引とは

将来割引とは、簡単に言うと将来自分に起こる利益(健康でも経済的成功でも何でもよい)を数値化した際に、その数値に掛け算する係数(1より小さい)のこと。
つまり、人は将来のことを現在より軽んじて評価する傾向があり、その軽んじる度合に応じて価値を割引いてしまうということです。

将来割引は、ハーバード大学の経済学教授 デイヴィッド・レイブソンが単純な数式にまとめました。
単純な数式って本当に役に立ちますね。
しっくり納得出来ちゃいます。

もう少し理解を深めるためにまず、

  • 人間には目の前の報酬を重視する”ホットシステム”
  • 将来の利益を重視する”クールシステム”

この2つがあることを理解しておきましょう。

この2つのシステムは脳内でせめぎあっていますが
ホットシステムは衝動的で本能的、瞬発力抜群でパワーがあります
一方、クールシステムは理性的で自制的、瞬発力やパワーでは圧倒的に劣ります。でもホットシステムを飼いならす賢さはあります
詳しくは本を参照いただきたいですが、ここではこのような理解をしていてください。

例を見ながら意思決定を計算しよう

例えば、ジムに行くと決めたのになかなか理由をつけては行かない人っていますよね。
レイブソンはその現象を数式を使って説明しました。
将来をどれだけ容赦なく割引くかは人それぞれであるが、レイブソンは先延ばしされた報酬の利益を半減させる割引率を採用しました。
つまり、「半減 = 割引率1/2 (0.5)」です。
大抵の人の割引率はそれよりさらに大きい、つまり将来を軽んじる傾向が強いそうです。

割引をわかりやすくモデル化するため、活動のそれぞれに数値を充てます。
ここでは簡単にするため、いかのように定義します。

  • Z: 活動によってもたらされる純利益(プラスであれば報酬を先延ばし、マイナスであれば現在の報酬を優先)
  • X:活動がもたらす苦痛や必要とする努力(マイナスの数)
  • Y:活動によって得られる報酬(プラスの数)
  • a: 将来割引率

とします。
それでは例を示しながら計算します。

例1)ケビンが今日ジムへ行ってトレーニングするか否かを決定する場合
ケビン(任意のキャラ設定)が今日ジムに行ってトレーニングするかどうかを決定するシーンを考えます。
彼にとって、今日のトレーニングする努力はマイナス6の損失(X=-6)、得られる長期的健康はプラス8(Y=8)の利益とします。
もちろん、これらの数値は決定を下す人の価値観に基づきます。
ケビンは現在の努力の損失をマイナス6、長期的健康の利益をプラス8としているため、現在バイアスが働いていると言えますね。
また、将来割引率を1/2と仮定すると、このような人が今日トレーニングをすることによる純利益Zは

純利益Z1 = -6 + 1/2 × 8 = -2

となってしまいます。
純利益マイナス2ということは、損失が大きいわけですから今日ジムへ行ってトレーニングするという意思決定はできませんね。

例2)ケビンが明日ジムへ行ってトレーニングするかを今日決定する場合
ジムへ行ってトレーニングするのも、健康が得られるのも近未来か遠い未来かは別として、依然として将来です。
つまり、トレーニング(損失)にも将来の健康(利益)にも両方に将来割引率1/2が適用されます。
これを踏まえて先ほど同様計算すると

純利益Z2= -6 × 1/2 + 8 × 1/2 = 1

つまり、純利益Zはプラス1となります。

例1と例2より Z1 < Z2 であることがわかりました。
つまり、ケビンはZ2を採用する決断をするわけです。
そっか、それならケビンは今日ではなく明日トレーニングするのか、めでたしめでたし。
とはならないのです。

昨日の明日は今日。
つまり、今日になって再計算するとまた明日トレーニングすることになるのです。
そう、つまり、ケビンにとってトレーニングする日など永遠に訪れないのです。
これが、辛いことは後回しのメカニズムだったのです。

まとめ

将来割引を使った計算どうだったでしょうか。
なんか当たり前すぎる感じでしょうか。
当たり前っちゃ当たり前ですが、私はけっこう目からウロコだったりします。
こうやって、要素を分解して数値化してみると論理的に現象が捉えられますので対処法も見えてきます。
どうすればケビンはいい加減今日トレーニングするのでしょう。
その答えは、《冷却と加熱を使った意思のコントロール術》で紹介します。

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