はじめに
経営工学に関連したキーワードを学習していて気付いたことがあります。
「多面的な視点が養われ、汎用性がめちゃ高い!」
「技術士二次試験の経営工学部門に限らず、多くの部門に応用可能な知識や方法論が満載!」
ということで、技術士二次試験(経営工学部門)の対策をしている時にまとめてきたキーワード集をほとんどそのままご紹介!
本経営工学キーワードシリーズの記事の特徴として、ある1つのキーワードをについて
- キーワード名
- キーワードを取り巻く背景
- 原理と特徴
- 問題点
- 解決策
- 応用例
- 今後の展望
これらのような、あるいはこれらに近い視点でまとめています。
これはそのまま、技術士二次試験対策に直結するまとめ方です。
このシリーズの記事は次のような方にオススメです!
- 技術士二次試験(経営工学部門)受験予定の方
- 技術士二次試験(経営工学部門以外)の受験予定の方
- 技術士に興味はないけど、経営工学を勉強したい方
ぜひ、それぞれの目的に合わせて勉強にもお役立てください!
デマンドドリブンとは
デマンドドリブン(demand driven)とは「要求駆動」の意。
要求に基づいて計算が行われる計算モデル。
例えば、「アイデア」を出発点として、そのアイデアの実行価値があるか検証するためにデータを分析するならば、「デマンドドリブンマーケティング」であると言える。
なぜなら、データ分析の駆動となっているのは、データではなく「アイデアを検証せよという要求」だからである。
データドリブンとは
データドリブン(data driven)とは、「データ駆動」と訳され、もともと計算機科学(コンピュータサイエンス)用語。
デマンドドリブンの対義語としての位置づけであり、デマンドドリブンが従来的手法であるとすると、データドリブンは新しい手法。
データドリブン(データ駆動)は、ひとつの計算によって生成されたデータが次の計算を起動して、連続した計算が実行されていく計算モデル。
出発点は、データでデータ以外は駆動力にならない。
データが次の活動を動機づけて駆り立てるという仕組み。
データマーケティングとデータドリブンマーケティングの違い
- データマーケティング:データを使ったマーケティング
- データドリブンマーケティング:データが出発点となるマーケティング
データマーケティングが従来的マーケティング手法とすると、データドリブンマーケティングは新しい手法と言える。
データドリブンマーケティングは「あらゆる局面で”データ主導”で意思決定する」ことになる。
「データの価値を重んじる」組織が採用する手法と言える。
「データ分析をすればデータドリブン」ではない
「データを分析して、意思決定に反映すればデータドリブン」というのは誤解。
“データ駆動か否か”が重要なポイント。
例えば、「A/Bテスト」はデマンドドリブンである。
なぜならば、「AとBどちらの方が効果が高いか知りたい」という欲求を駆動としたデータ分析であるから。
一方、「ソーシャルリスニング(傾聴戦略)」は、ユーザの生の声をデータとして収集し、そこから洞察を得る分析のためデータドリブンと言える。
データドリブンマーケティングの可能性
以下、3つのポイントがある。
- 競争で先手を打てる
- 意思決定のノイズが消えてROIが向上する
- 顧客に実益がもたらされる
詳しく解説する。
①競争で先手を打てる
デメリットばかりではないが、「アイデア」出発のデマンドドリブンはどうしても時間がかかる。
試行錯誤の工程が必要となり、最適解に辿り着くにはリードタイムを要する。
一方、あらゆる予兆は、最初にデータの中に織り込まれていることが事実であり、人間が予兆を直感や勘で察知できるのはデータより後である。
Google, Amazon, Appleなどのハイテク企業が競争に打ち勝ち、生き残っているのは偶然ではなくデータのおかげ。
データドリブンマーケティングを早期から実践してきたことで、あらゆる予兆をいち早く察知し、先手を打ってきたから競争優位性を保っている。
②意思決定のノイズが消えてROIが向上する
マーケティングの意思決定において、感情に浸ることは無駄(ノイズ)であり、意思決定の邪魔となる。
例えば、従業員や取引先との親しみ、長年実施した施策への愛着、損失回避の感情、プライド、顧客への好き嫌いなどは意思決定を誤らせる要因となりうる。
感情ではなく、データを駆動力に意思決定することで、ノイズを消して意思決定の精度を向上することができる。
その結果、ROI(Return on Investment:投資利益率)が大幅に向上することが期待できる。
③顧客に実益がもたらされる
従来のマーケティングは、マーケターの推論がベースとなって商品開発やサービス提供が行われてきた。
データドリブンマーケティングでは、「データ(事実)」をもとに、顧客が求めるベネフィットを必要なタイミングで必要な人へ届けることができる。
マーケティング活動の中枢が、「企業にとって都合の良いターゲット層のニーズ予測」から、「顧客一人ひとりに合わせたパーソナライズ」へと変化する。
企業やマーケターによる自己満足的な活動が淘汰されて、代わって顧客に実益をもたらすのが、データドリブンマーケティングと言える。
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