はじめに|補って余りあるごほうび
ある程度難関と言われる資格取得を目指すというものはなかなかの覚悟がいることです。
というのも、難関資格を突破するには犠牲を払う必要があるからです。
ただ、それを犠牲や損失と捉えるかは考え方次第ではありますが。
その、難関資格を目指すうえでの懸念材料を敢えてデメリットとして捉えたとしても、補って余りあるごほうびがあることを身を持って体感しました。
言わずもがなですが、デメリットを整理すると以下の通りです。
- 時間がかかる
- お金がかかる
- 付き合いや娯楽を遠ざける
毎日の朝、昼休み、夜、隙間時間、休日などを勉強に捧げる
参考書、問題集、スクール代、受験料、通塾や受験にかかる交通費 etc.
職場、友人との付き合い、家族との時間、趣味の時間などを減らさざるを得ない
ざっとこんなところでしょうか。
いやー、正直しんどいですよね。
私は様々な資格を取得してきたのですが、どうしても以前から興味のあった技術士だけは長年踏ん切りがつかず、後回しにしていました。
ですが、ある技術士の方との出会いをきっかけに30代半ばで技術系最高峰の難関国家資格と言われる技術士受験を決意!
そんな私が受験勉強中及び資格取得後に感じた、というより体得したことについて紹介します。
払ってきた犠牲(犠牲とは考えていませんが)を補って余りあるごほうびとでも言えるものです。
この記事では、そんなごほうびの中でも「勉強法」について紹介します!
これまでの勉強法を疑え!
技術系最高峰と言われる難関国家資格の技術士試験対策を行うにあたって、まず私が行ったのっは「勉強の仕方の勉強」です。
「えっ?」
って感じですよね。
それ以前も大学受験、大学院試験、就活、他の資格試験など多くの試験というものを経験しそれなりの成果を出してきたわけですが、敢えて勉強の仕方の勉強を一から行うことを考えました。
というのも、これまでの勉強法にはどこか非効率さや違和感を感じていたという自覚があったからです。
そしてその違和感は的中していました。
つまり、科学的には間違った勉強法を取り入れていたのです。
そこで非常に参考にさせていただいたのがこちら、
著書名:「超効率勉強法」
まずは、一般的にも知られている間違った勉強法を指摘。
そして科学的に正しい効率的勉強法を紹介する本です。
本に紹介されている方法をざっとマインドマップに起こすとこんな感じ。
この中から私が実際に実践したもので効果を感じたものを簡単に紹介します。
辞めた勉強法
これまでの自分の中で、あるいは一般的にも定石とされている勉強法をやめました。
そのやり方が以下の4つ。
- アンダーライン
- テキストの要約
- 集中学習
- 忘れる前に復習
この4つです。
以上の勉強法のデメリットを挙げます。
アンダーライン
アンダーラインは作業であり、その作業自体には記憶を定着させる意味などはまったくありません。
シンプルにその時間が無駄であるだけでなく、「勉強をやった気になる」ので尚更良くありません。
また、後で見返した時に「アンダーラインだらけの参考書」へと無残な変貌を遂げ、「結局どこが大事なのかよく分からない」なんてことは皆さん経験済みでしょう。
学校の先生が「ここ、テストにでますよー」と言いながらマーカーを引かせるのは、定期テスト問題を作る学校の先生の専売特許です。
どんな問題が出るかもわからない、ましてや試験官ではなく受験者である私たちがマーカーを自己判断で引くなどという事自体が本来不毛な行為であることはよく考えてみれば分かりますね。
テキストの要約
よくテキストや参考書などの膨大な情報量をインプットしたくて、自分なりの要約をノートにまとめたりって、やりがちですよね。
やりたくなる気持ちはよく分かります。
テキスト要約は、悪くはないのですがやってはいけない理由があります。
それは、「時間と労力があまりにかかる」からNGです。
私たちはいずれ死んでしまいます。
勉強時間は有限です。
要約に時間を割かず、その知識をアウトプットすることに時間を回した方が得策です。
集中学習
1つの教科や1つの単元などをまとめて片付けてしまう集中学習。
一見間違っているようには思えませんが、落とし穴があります。
「人間誰しも高い集中力を維持し続けられない」ということです。
適度なタイミングで休憩をはさんだり全く違う勉強に切り替えることで集中力は維持します。
集中していないときに勉強してもほぼ意味がないのです。
忘れる前に復習
これもかなり意外ですよね。
「忘れる前に、家でしっかり復習しましょう」と言われ続けて早何十年って感じですもんね。
でも、これ実は間違っていたんです。超ショック!!
人間の記憶は”忘れかけた頃に引っ張り出す”、このアハ体験(ちょっと昔は流行りましたね)こそ、記憶を超絶強化します。
悪れる前に復習するのは、実は時間的にはかなり無駄な使い方と言っていいでしょう。
取り入れた勉強法
それでは逆に、新たに取り入れた勉強法としてどんなものがあるでしょう。
ざっと22項目ありますので、さらっと紹介します。
方法自体は「超効率勉強法」という本からの抜粋ではありますが、やり方などは私流にアレンジしています。
是非ご参考に!
クイズ化
細切れにミニクイズを自分に出題するやり方です。
アウトプットは最強のインプットになります。
何も面倒な問題集を自信で作成する必要はありません。
テキストや参考書など読んでいる途中でパタンと閉じて、
「前のページに書いてあったことの要点を3つにまとめると?」
などと自分に問題を出して答えるという単純なことを繰り返すだけでも記憶への定着はかなり高まります。
分散学習
“ジャンルの分散”と”時間的分散”の2つの意味での分散を意識します。
やっていはいけない勉強法の「集中学習」の逆ということです。
例えば、数学のベクトルを30分程度やったら、英文法を30分行い、10分休憩して世界史を30分やる、みたいに比較的細切れに全く別の事をやるのです。
集中が続かない状況で無理をするのは効率が下がります。
脳が喜ぶ「分散」を取り入れましょう。
チャンク化
関連性、親和性のあるものをカテゴリ化するという方法です。
「チャンク」とは認知心理学の用語で、人間が認識できる情報の集合を意味します。
チャンク化は品質管理の手法の1つ、「親和図法」にも発想が似てるなーということで、上に例を示しています。
例えば、11桁の電話番号を、11桁そのままで覚えるより
「○○〇-○○○○-○○○○」
と3桁-4桁-4桁と塊に分ける方が覚えやすいのは誰しも経験がありますね。
キーワードなどの言語情報も同様で、関連性や親和性でグループ分けすることで記憶の定着率が上がります。
マインドマップなどを活用するのも効果的ですね!
自己解説
なぜ?と掘り下げて自分にツッコミを入れるのが自己解説です。
アインシュタインの名言に
「6歳児に説明できなければ、理解したとは言えない」
というものがあります。
こどもが「なんで空は青いの?」などと何でも疑問を持って大人に聞いてきますね。
そんな時、「レイリー散乱がね、光の波長がね、粒子サイズがね」と説明しただけでは6歳児は納得しませんよね。
抽象概念と具体的事象をいかに平易な言葉で表現できるか、それが普段から自己解説を行っているかどうかで決まってきます。
自分の中にいるもう一人の幼い自分に自己解説することによって理解と記憶が深まります!
ティーチング・テクニック
人、こども、モノに教えるつもりで、覚えたことをプレゼンする方法です。
いわゆる「教えるつもり勉強法」です。
実は私、これをかなり使いまくってます。
覚えたこと、理解したことを頭の中で仮想の聞き手(職場の後輩とか)を想像し、一方的に教えてあげるのです。
身振り手振りも交えながら、リアルに一人でぶつぶつとエアー授業を展開します。
アウトプットは最強のインプットという原則にも則っていますし、つまづいたりすると、自身の理解が浅いと気づきます。
周りに人がいる場面ではオススメできませんが、誰にも迷惑をかけない(不審がられない)環境であればガンガン架空の誰かに教えてあげましょう。
自己超越目標
5年後、10年後に目を向けて高いモチベーションをキープする方法です。
勉強法というりよりは、モチベーション管理法といった方がいいかもしれません。
勉強そのものはまさに、「今この瞬間」と向き合う作業と言ってもいいでしょう。
しかし、時々、「なぜ今こんなことをやっているのだろう」という思考が頭をよぎります。
モチベーションキープには「5年後、10年後の姿こそが今頑張る理由だった」ことを定期的に思い出す必要があります。
紙に書く、スマホにメモするなど、今達成できるわけではないが、勉強を続ける理由となる目標を思い出せるようにしておくと良いでしょう。
好奇心を刺激する
無味簡素な情報にも面白味をプラスし心を刺激するという方法です。
例えば、「ざんねんないきもの事典」なんて児童書があります。
本のタイトルもキャッチーですが、「ゴリラは知能が発達しすぎて下痢気味」なんていう話が出てきます。
動物や生物学に興味のない人でも、このように面白味をプラスするとついつい興味をそそられるし、不思議と頭に残りやすいものです。
どうしても興味がわかず覚えられない、でもテストでは重要、などというものについては面白おかしなエピソードを乗せるのもいいですね!
音楽を正しく使う
歌詞やリズムに脳のリソースを奪われず、自然音をBGMに!
これは、結構多くの人が間違いがちじゃないでしょうか。
私も昔は、歌詞つきの歌謡曲などをガンガン聞きながらテンションを高めて勉強していました。
でもあれ、良くなかったんですね。
そりゃそうですよね。
リズムに乗せて体が揺れたり、気づいたら歌詞を口ずさんでいたり。
脳がマルチタスク状態で勉強に集中できていないのはよく考えれば分かることです。
水のせせらぎや小鳥のさえずりなど一定のリズムを刻まない、言葉も入っていない、そんなBGMが脳の集中状態を維持するにはもってこいです!
もちろん無音でも構いませんが、周囲が雑音にまみれて集中をそいだり、何か音を聞きたいときは自然音のBGMを流すのがおすすめ!
戦略的リソース利用法
人、情報、ツールと言った学習するうえでのリソースを戦略的に使うという方法。
当たり前ですが、手段に固執するあまり、効率を犠牲にしないようにという事です。
人によって向き不向きがありますので、誰しも塾や予備校といったスクーリングが適するわけでもありませんし、情報ソースも本やネットなど人によって利用しやすい媒体が異なります。
例えば、私は自身の性格などから独学を主軸として、セミナーなども部分的に活用しつつ、参考書をベースにネット情報も補助的に使いながらなど、自身に合ったリソースを使っています。
柔軟な思考で適宜リソースを見直しながら勉強を進める戦略性が大事です。
自然の力で集中力をアップ
文字通り、自然の中での勉強は集中力アップさせる方法です!
観葉植物や自然の写真でも十分効果があります。
もちろん森の中で、青空の元勉強できれば最高ですが、毎日そのような環境に身を置いて勉強するのは難しいですよね。
そんな時は、部屋の中にちょっとした植物や自然の風景などの写真を飾って目に見えるようにするだけでも集中力はアップしますよ。
ウェイクフルレスト
昼寝ができればベスト!難しければ目を閉じてぼーっとするだけでもOKという方法。
10分程度、ボーっとしてみるのです。
高い集中状態を何十分も継続するのは通常の人間であればかなり厳しいです。
また、頭の中で情報がこんがらがってきます。
敢えて意図的に、ボーっとタイムを設けることで頭の中の情報が綺麗に整頓されていきます。
ウェイクフルレスト、試してみて下さい!
インターリービングスリープ
切りが悪くても、眠ければ寝る!その半端さがむしろ記憶の定着を促す!という方法。
さっきのウェイクフルレストとの違いは、本気で眠ってしまうという点です。
眠いけど切りが悪いからあとちょっと、と頑張ってしまいがちですよね。
眠い状態だと勉強の効果が下がるばかりでなく、せっかくのチャンスを逃しているかもしれません。
中途半端に区切って、あえて睡眠や休憩をはさむことで脳内の情報が整理されるばかりでなく、勉強を再開した時の覚醒度と集中度が上がります!
20分程度の仮眠でも効果がありますし、コーヒーナップと言って仮眠直前にカフェインを摂取しておくと尚効果的です!
勉強後の運動
運動による血流アップが記憶の定着を促す!という方法。
これはシンプルにそのままです。
当たり前ですが、血液中には呼吸によって取り込んだ酸素が含まれており、運動によって血流が脳内にも十分届きます。
勉強後にちょっと散歩や軽い筋トレなどを挟んであげるだけで効果があります。
カフェインは起床から90分後
起き抜けにコーヒー一杯!はNGです。
起床後はストレスホルモンであるコルチゾールだけで十分な覚醒作用と集中力が期待できる!
コルチゾールが切れ始めるのは起床90分後ですので、ストレスホルモンの効果が切れ始めてからのカフェイン接種が効果的です。
コルチゾール+カフェインだと覚醒作用が強すぎて自律神経が乱れたり、カフェイン過多に陥ってしまう可能性があります。
ひとり言学習(自己参照効果)
実況、質問、要約といった自己参照により集中力アップ!
先ほど示したティーチング・テクニックのセルフ版と言ってもいいかもしれません。
教え相手として架空の誰かを想定するというより、自分自身に語り掛けちゃう感じです。
これも不審がられますので人前ではできませんが、家など誰もいない環境であれば、ガンガン独り言をつぶやきながら勉強してみるのもいいですね!
マルチモーダル学習
視覚だけではなく聴覚なども使って、様々なアプローチで脳を刺激するという方法。
例えば、自分で書いた筆記試験の回答をボイスレコーダーに自分で吹き込んだ音源、オーディオブック、リスニング用CD、教育系Youtubeなどなど、学習用に使えそうな移動中などに聞き流せる音源って実はたくさんありますよね。
手も、目も塞がっているけど耳は空いているなんて時にもってこいなのが音源を活用したマルチモーダル学習。
現代人の新しい学習スタイルの主役級と言っても過言ではない手法ですね!
ジェスチャー法
身振り手振りで脳を刺激する方法。
これも私はかなりやってます。
使い方としては、先述のひとり言学習(自己参照効果)との合わせ技で、身振り手振りで手を動かしながら勉強した内容を自己解説する際なんかに手の動きなどを使います。
当然やりすぎると普段人と会話するときにも身振り手振りが入ってしまいますが、それでいいんです。
いや、むしろ一石二鳥です。
説得力の高い人の特徴の一つにオーバーリアクションというのがあります。
説得力がありプレゼンがうまい人は、言葉を操る言語能力だけではなく、表情・立ち振る舞い・ジェスチャーも実に豊かに表現します。
説得力のあるプレゼン力の強化にも役立つジェスチャー法、ぜひ取り入れて下さい。
勉強中にも運動する
血流と酸素を脳にいきわたらせるという方法。
もちろん、勉強に集中できなくなるくらい運動にリソースを割かれるのは本末転倒ですが、やはり机にかじりついてばかりの勉強では肩や腰に負担がかかるばかりでなく、脳にいきわたる酸素を運ぶ血流も停滞しがちです。
「3問解いたらスクワット1っ回挟む」、とかでもいいでしょうし、
「足踏みしながら本を読む」なんかでもいいでしょう。
いずれにせよ、座りっぱなしというのは体にも脳にもよくありませんね!
苦手意識を解消する
苦手意識は人間のパフォーマンスを低下させる!小さくても成功体験を積む、という方法。
得意意識というのはあまり聞きませんが、「苦手意識」はよく聞きますし、多くの人が抱えてますよね。
でも、苦手意識は持っているだけでモチベーションもパフォーマンスも下げるばかりでいいことはありません。
実際に苦手かどうかは、ひとまずどうでもいいのです!
苦手”意識”を捨ててしまいましょう。
そのためには”小さくてもいいので”成功体験を積むこと。
例えば、朝活をしようと思って朝が苦手な人がいつもより30分早起きして勉強する、なんてのはちょっと無謀かもしれません。
仮にできても3日坊主が関の山。
まずは5分でもいいので早起きして朝活を始める。
そんなスモールステップの成功体験の積み重ねが成果として実を結ぶことをお忘れなく!
オーバーラーニング
一度習得したことでも、何度も何度も反復することで脳にしっかりと定着!というシンプル理論。
スポーツでもそうですが、反復して練習すると体が覚えますよね。
勉強も一緒です。
何度も触れる情報は脳内で「これは生きていく上で大事な情報だ、しっかり覚えよう」と記憶のネットワークをより強固にしてくれます。
新しい情報を学ぼうとする「学習モード」から、記憶を強固にする「定着モード」に切り替わります。
当たり前のことではありますが、復習は大事になります。
筆記開示
思いついたことを何でもいいからすべて吐き出す!という方法。
勉強法というより思考や感情の整理のために使う筆記開示という方法を勉強法として応用した感じです。
なぜ勉強法として有効なのか、それは脳のリソースを開放することでマルチタスクを避けることに由来します。
人はなんだかんだ無意識に勉強中にも様々な事を考えてしまうものです。
今日の晩御飯は何にしよう、仕事のことが気になる、別の勉強のことが気になるetc.
頭をよぎって仕方ないことは、無理に忘れようとするのではなく、敢えて言語化して紙に書きだすことによって物理的にわきに置いておくことができます。
極力勉強はシングルタスク状態で行うのがベストですね!
マインドセット系メディア
TEDトークのキャロル・ドゥエック氏をはじめ、成長マインドセットを刺激するメディアに多く触れる!という方法。
この方法には疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。
確かに、「直接的に勉強時間を確保しているわけでもないのに何の意味があるの?」思うのは当然です。
明日のテストのための対策を緊急にしなくてはならないのであればメディアを視聴している時間はもったいないかもしれませんが、長期的に勉強を続けていく上ではモチベーション管理という観点から必要な事です。
「私にはできる」「まだ成長できる」という自己効力感を高めるテクニックの1つとして、マインドセット系メディアに触れることは個人的にも大変効果を感じました。
まとめ
ざっと22項目程度、技術士二次試験対策をする中で取り入れた勉強法を解説してきました。
ただ、この22項目は技術士試験の勉強を始める以前から、意識的にあるいは無意識的に行っていたものも含みます。
辞めた勉強法、取り入れた勉強法それぞれについてもっと詳しく知りたい方は、この本をぜひ読んでいただければと思います。
著者:メンタリスト DaiGoさん
著書名:「超効率勉強法」
何といっても研究結果に基づいた科学的に信頼のおけるやり方です。
いきなり全てを取り入れるのは難しいですから、自分ができそうなものから一つずつやってみるといいですね!
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