【経営工学キーワード】サービスマーケティングの7P

経営工学
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はじめに

経営工学に関連したキーワードを学習していて気付いたことがあります。

「多面的な視点が養われ、汎用性がめちゃ高い!」
「技術士二次試験の経営工学部門に限らず、多くの部門に応用可能な知識や方法論が満載!」

ということで、技術士二次試験(経営工学部門)の対策をしている時にまとめてきたキーワード集をほとんどそのままご紹介!
本経営工学キーワードシリーズの記事の特徴として、ある1つのキーワードをについて

  1. キーワード名
  2. キーワードを取り巻く背景
  3. 原理と特徴
  4. 問題点
  5. 解決策
  6. 応用例
  7. 今後の展望

これらのような、あるいはこれらに近い視点でまとめています。
これはそのまま、技術士二次試験対策に直結するまとめ方です。

このシリーズの記事は次のような方にオススメです!

  • 技術士二次試験(経営工学部門)受験予定の方
  • 技術士二次試験(経営工学部門以外)の受験予定の方
  • 技術士に興味はないけど、経営工学を勉強したい方

ぜひ、それぞれの目的に合わせて勉強にもお役立てください!

キーワード名

サービス・マーケティングの7P

定義

サービスマーケティングの7Pとは、コトラーが提唱した概念。
コトラーはマーケティングの神、または近代マーケティングの父などと呼ばれることもある人物である。

サービス・マーケティングは以下7つのPによって構成される

  • Product:製品戦略
  • Price:価格戦略
  • Place:流通戦略
  • Promotion:販促戦略
  • Personnel:人(要員)
  • Process:販売や業務の過程
  • Physical Evidence:不安を払拭するための物的証拠

現在でさえ7Pとして定着しているが、7Pはベースの4P+後付けの3Pからなる。

ベースの4Pと+3Pが必要になった背景

ベースの4Pとはプロダクト・マーケティングで言われる、マーケティング・ミックスのこと。
コトラーの友人であるアメリカの経済学者エドモント・ジェローム・マッカーシーが提唱した。

4Pが提唱された時代は、家電製品や自動車などの有形な商品の流通が中心だった時代である。
そのため、「物を売るためにはどこに注目しなければならないか」という視点で提唱されてる。

マッカーシーが唱えた4Pは、先ほど紹介したとおり以下4つのPをまとめたもの。

  • Product:製品戦略
  • Price:価格戦略
  • Place:流通戦略
  • Promotion:販促戦略

つまり、物を売るためには、どんな物をいくらで、どこで、どんなPRをして売るかという政略が必要だという考え方。

しかし1970年代以降、金融や旅行、飲食、情報など、形がなく目には見えないサービスが商品としての価値を持つようになってきた。
有形の物の売買でさえ、付随するサービスが比較の対象となり、それによって物が売れたり売れなかったりする時代になった。

つまり、4Pだけでは正しいマーケティング戦略を立てられない時代となったと言える。

サービス・マーケティングに加えられた3つのP

上記のような背景から、サービスのような無形の財にも当てはまる新しいマーケティング戦略が登場。
コトラーは従来の4Pに以下3つのPを追加し、7Pがサービスマーケティングに有効なフレームワークとして提唱した。

  • Personnel:人
  • Process:販売や業務の過程を表す
  • Physical Evidence:不安を払拭するための物的証拠

これで現在のマーケティング7Pとなった。

新たに追加された3つのPについて、以下の通り詳しく解説する。

〇Personnel
personnelとは人員・人材の意で、ここでは以下の人たちを指す。

  • 従業員(スタッフ)
  • お客様
  • 関係会社

つまり、サービスを提供する際に関係のある人を指している。

例えば、綺麗なビルの屋上で優雅な雰囲気のもとでディナーを提供するサービスがあったとする。
いくら有名で魅力的なサービスであっても、ウェイターが横柄な態度で接客し、仲間と大きな声でゲラゲラと笑いながら喋っていたら・・・
もちろん、ディナーの提供によってお客様が受ける快適さなどの価値は薄れてしまう。

お客様に提供する価値を高めるためには、従業員や関係会社、さらにはお客様自身も重要な要素となる。

〇Process
販売や業務の過程を表すProcessのこと。
お客様や自社にとって価値を提供するために最も効率的なプロセスであるかを問うもの。

宿泊サービスで例えるなら、お客様がチェックインおよびチェックアウトしやすいかどうか、ホテル内での移動がしやすいかどうかなどが該当する。

〇Physical evidence
物的証拠の意。
証拠というのは、自社商品・サービスの特徴やお客様に与える価値が目に見えてわかるものです。

例えば次のようなものが物的証拠の例として挙げられる。

  • 店舗の外装
  • BGM
  • 推薦状
  • トレーサビリティ表示

無形のサービスでは、なかなか目に見えた特徴や価値を表すのが難しいので、お客様が安心して利用できるような物的証拠が必要である。

サービス・マーケティングの特徴
アメリカの経済学者フィリップ・コトラーは、サービスという目に見えないものが、顧客の購買活動に大きく影響しているということを説いた。
コトラー以前の経済学では、物が売れるかどうかは、物の良し悪しや値段、立地の良し悪しなどによって決まるという考え方。

しかしコトラーは、”たとえ物自体がよくても、値段が手ごろでも、それだけでは顧客はその商品に本当の価値を見出さない”ということに注目した。
それは、”マーケティングが生産物をいかに処分するかという技術ではなく、顧客にとっての本当の価値を見出すための活動”。

また、顧客の生活向上に役立つ考え方でなければならないということを説いた。
それまでのマーケティング理論は、商品そのものにだけ注目していた。

しかしコトラーは、物を売るために必要なものとしてサービスに注目し、”サービス自体にも商品価値“を見出している。
また、顧客のニーズに合わせてマーケティング手法を変化させるべきだと説いた点も画期的。
いかにして顧客に物を買わせるかという戦略を立てるためのマーケティングを、顧客のニーズに合うように変えていくことは、一見顧客主導のようにも見える。

しかし、顧客のニーズを正しくつかみ、それに合わせて戦略を練るというやり方は、売る側が自分の方に顧客を引き寄せることにつながるので、決して顧客主導ではない。
有形無形に関わらず、あらゆる商品を対象に戦略を立てられるのが、コトラーの提唱したサービスマーケティングの特徴である。

つまり、まとめると、サービス・マーケティングの特徴は、

  • 顧客にとっての商品の価値は4P(Product, Price, Place, Promotion)だけでは決まらない
  • 4P以外の要素である3Pがないと顧客は価値を見出さない
  • 顧客主導ではなく提供側が主導で顧客ニーズに合わせて商品を作り込む
  • という点がコトラーの提唱するサービスマーティングと言える。

    サービスの特性

    フィリップ・コトラーは「サービスの特性」についても定義している。
    サービス・マーケティングを行う上では、この特性を理解しているか否かで戦略の質も変わってくる。

    以下の4つの特性を解説する。

    〇無形性(Intanngibility)
    企業がお客様に提供するのは商品(製品・サービス)である。
    製品には形があるが、サービスには形がない。
    これを無形性(intangibility)という。

    だからこそ、物的証拠(Physical Evidence)によって可能な限り可視化することはお客様にとって安心感を与える意味で重要である。

    〇同時性(simultaneity)
    同時性とは、生産と消費が同時に起こるという性質を表す。
    ホテルもテーマパークも、営業時間外にサービスの提供は行われない。

    また、距離と人員数の制約も考慮すべき。
    サービスは「その場」で「人が」提供するものが多いからである。
    サービスを提供するにも距離的制約と人員数の制約があるため、少ない人員でも多くの消費者に対応できる仕組みづくりを意識しなければならない。

    〇消滅性(perishability)
    サービスは貯めることができず、提供している間はサービスが消費し続けるという性質を表す。
    例えば、自動車製造業では製造した自動車を保管することができる。
    保管した自動車を月末に100台売ば100台分の売り上げを得られる。
    しかし、ホテル業では営業時間になると部屋を提供するサービスは提供し続けており、お客様が宿泊しなければサービスは消滅する。
    月末にしか宿泊客がいなければ、その日しか売り上げは得られない。

    このように、サービスは貯めておくことができず消滅性を有するという性質がある。

    〇変動性(heterogenety)
    変動性とは、サービスが提供する“価値”が変動するという性質。
    有形物を提供する自動車製造業の場合、製造管理によって出来上がった自動車は同じ機能を消費者に提供する。

    一方、スポーツ教室などのサービスの場合、指導するスタッフやお客様によって全く同一の価値を提供することはにはならない。

    このように、無形のサービスは提供する価値がその時々で変動する性質(変動性)を有している。

    サービス・マーケティング7Pの手法と事例

    〇テーマパーク

    • Product
    • テーマを明確化して、そのコンセプトに合ったオリジナルキャラクターを登場させる。
      キャラクター商品を販売したり、キャラクター自身にサービスの提供を行わせる。

    • Price
    • サービス内容に見合った入場料や施設の利用料に設定。
      単純に安ければいいというものではない。
      支払うコストがサービスの内容に見合っていれば、顧客は妥当と判断し満足が得られる。

    • Place
    • テーマパークの場合、Place(場所)が大事な要素であることは言うまでもない。
      高いリピート率を維持するためには、多くの人が日帰りできる場所にテーマパークをつくるのがポイント。

    • Promotion
    • テーマに合ったサービスの提供方法を工夫。
      定期的なイベント開催。

    • Personnel
    • スタッフの徹底した教育

    • Process
    • 顧客によってサービスの提供方法を柔軟に変更する

    • Physical Evidence
    • 施設の設計や点検に工夫を凝らす。

     

    顧客視点の「4C」

    現代のマーケテイングにおいて、売り手視点の7Pだけではなく買い手視点の4Cも重要な概念。
    有形無形問わず、物やサービスの売買は、売り手と買い手の意思が一致して初めて成立する。

    7Pは顧客ニーズによって変化する要素がありながら、売り手視点のフレームワークであり、企業側が売り込む「プロダクトアウト」の考え方と言える。
    消費者の実際の購買行動に結びつけるには、もう一押しの視点が必要となる。

    そこで4Cが登場する。
    4Cはアメリカの経済学者ロバート・ローターボーンが1993年に提唱した。
    顧客のニーズから購買行動が始まる「マーケットイン」の考え方であるのが特徴。
    4C以下のキーワードの頭文字である。

    • Customer Value:顧客価値
    • Cost:顧客が支払う金額
    • Communication:関係性を構築する
    • Convenience:利便性

    Customer valueはProductと、CostはPriceと、CommunicationはPromotionと、ConvenienceはPlaceと対象の関係にある。
    つまり、7P(含む4P)がもれなく実行されれば、自然と4Cにも対応することになる。

    顧客に満足感を与えられるサービスはどの様なものか考えて、このフレームワークを戦略的活かすと効果的。

    まとめ

    有形製品が主流だった従来の4P理論では、無形商品であるサービスも価値として提供されている現在においては不十分な要素があった。
    そこで新たに3Pが加えられ、サービスマーケティングにおける7Pの概念が確立した。

    さらに4Cという顧客視点から商品の価値を見つめ直すことで、売り手と買い手の双方から答え合わせが行える。

    7Pの概念から自社のサービスを評価し、マーケティング戦略に不足が生じているようであれば、取り扱う製品・サービスに応じて不足した要素を補充すると良い。

    参考

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