【技術士】二次試験 実務経験証明書の「業務経歴」と「業務内容の詳細」の書き方

技術士試験【全部門】
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はじめに|業務経歴と業務内容の詳細の位置づけ


技術士二次試験受験に先立ち、「業務経歴と業務内容の詳細」というものを日本技術士会に提出する必要があります。
例年、技術士二次試験の筆記試験は7月の海の日あたりに実施され、受験申込書(業務経歴や業務内容の詳細などを含む)はその3か月前の4月中旬ころまでの提出期限になっています。

私の受験した令和2年度については、新型コロナウイルスの影響で、試験実施が2か月ほど延期されましたが、そのようなことはそうそうないでしょう。

その申込書に添付する業務経歴と業務内容の詳細は単なる履歴書のような意味合いではありません。
かと言って、それらをもって合否を決めるような”書類審査”ではありません。
ですが、間違いなく合否に影響すると言っていいでしょう。
それではなぜ業務経歴や業務内容の詳細を提出させるのか。
書き方の前にその目的をしっかり考えましょう。

業務経歴と業務内容の詳細の目的


目的は、主に以下の3点であると考えられます。

  1. 受験資格を満足しているかのチェック
  2. ※計画、設計、研究、分析、試験、評価、又はそれらの指導の業務である必要があります。
    ※総合技術監理部門以外の技術部門は4年、総合技術監理部門は7年の業務経験

  3. 高等の専門的応用能力を発揮しているかのチェック
  4. ※要はルーチンワークではなく、ある程度の難易度や主体性が要求される

  5. 口頭試験における話題作り
  6. ※口頭試験においてもコンピテンシーを評価するための質問がなされます。その土台となるのがこれらの書類です

1の業務経歴の確認は受験資格に直接かかわることですので試験の実施団体としては当然必要なことでしょう。

2については、「技術士は並みの技術者に与えるための称号ではない」ということに尽きると言えます。
いくら技術士二次試験において立派な論文を書けたり、口頭試験で対応できても実績のない人には与えられない称号であるということです。
技術士に相応しい業務に携わった実績があるか、評価したいのだと考えられます。

3については、意外と受験者には見落とされがちですがかなり重要なポイントです。
受験者1人に与えられた口頭試験時間はわずか20分です。
初めましての状態から、技術士に相応しいかを20分で判断しなければならないわけですから、試験官も必死なわけです。

不十分な記載の業務経歴や業務内容の詳細では、試験官も満足のいく質問ができません。
口頭試験で問われるコンピテンシー(コミュニケーション、評価、マネジメント、リーダーシップ、技術者倫理)をしっかり意識した書き方により、口頭試験を優位に進められます。

口頭試験本番では、試験官が助け舟を出してくれる場面もあるかもしれませんが、さらにその助け舟を事前に出せるのは受験者本人です。
過不足のない書類を提出し、試験官におもてなしすることで、結果的には自分自身が助けられます。
提出してしまった受験申請書類は出し直しが利きません
良く練った上で提出しましょう。

それでは、具体的な書き方を解説します。

業務経歴の具体的な書き方


業務経歴は「実務経験証明書」の上半分のことです。
見たことがないという人は、日本技術士会のホームページからダウンロードして見てみて下さい。
いわゆる、履歴書のような作りになっており、学歴と業務経歴の欄を埋めるだけの非常にシンプルな作りです。
ダウンロードが面倒という方のために、簡単に記載内容を下記に示します。

1.学歴欄
 1-1.大学院名
 1-2.課程(専攻まで)
 1-3.研究内容
 1-4.在籍期間
  ※学歴欄は1行分しか記載欄がありません。複数の歴をお持ちの方でも代表して1つに絞って記載する必要があります。

2.業務経歴欄
 2-1.勤務先(部課まで)
 2-2.所在地(市町村まで)
 2-3.地位・職名
 2-4.業務内容
 2-5.従事期間
  ※業務経歴欄は5行分記載欄があります。何行まで記載するか、悩ましいですね。
  ※最大5つの業務が記載できますが、業務内容の詳細に記載するものを1つ選び〇印をつける必要があります。

3.事業所の証明欄
  ※受験者自ら記載するものではありません。事業所の代表者の方にお願いして、サインと押印をしてもらってください。

こんな感じです。
いたって”事務的”な印象を持ちますよね。
確かに実務経験証明書においての重要度は「業務経歴 < 業務内容の詳細」かもしれません。
業務経歴は事務的にスラスラ書ける気がしますね。
ですが、何となく書いてはいけません。
気を抜かず、戦略的に書きましょう。

では、どのようなポイントに気を付けて書けばいいでしょう。
ポイントを4つ挙げます。

  1. 研究内容、業務内容欄は2~3行に具体的かつ簡潔に書く
  2. 「○○の計画/設計/研究/分析/試験/評価」とする
  3. 研究内容、業務内容はその該当期間に行ったものを代表して(なるべく)1つ書く
  4. 業務経歴は5行全て埋め、成長ストーリーをにじませる

以下に業務経歴を記載する際の4つポイントを挙げた理由を解説します。

ポイント①「研究内容、業務内容欄は2~3行に具体的かつ簡潔に書く」

実務経歴証明書は日本技術士会ホームページよりダウンロードできます。
フォーマットに従って入力すると分かりますが、研究内容、業務内容欄に4行以上書き込もうとすると大変文字が小さくなり、読みづらくなります。
筆記試験の論文同様、”読みづらい”というのはそれだけでマイナス印象です。
業務経験豊かな皆さんであれば沢山書きたくなるのは重々分かります。

しかし、試験官は大量の受験申込書に目を通すわけです。
負担を与えない範囲でアピールしましょう。
かといって、一行だけでは伝わるものも伝わりにくくなってしまいます。
もちろん、口頭試験の本番において、まさしく口頭で補足することは可能です。
ですが、限られた時間でいくつかのコンピテンシーを漏れなくアピールするのが口頭試験です。
評価につながるのかどうか分からない業務経歴の説明に時間を割いてはいられません。
そもそも補足させてくれるような質問をしてくれるかもわかりません。

2行以上しっかりと記載し、極力補足しなくても業務内容が伝わる文章量も大切です。
そこで、研究内容、業務内容欄は2~3行以内に具体的かつ簡潔に書く、という必要があるわけです。

ポイント②「研究内容、業務内容はその該当期間に行ったものを代表して(なるべく)1つ書く」

学生の時の研究内容については恐らく1つの研究テーマについて研究をするわけですから、”1つ”書く、という点において全く問題ないでしょう。
修士論文や博士論文のテーマ名をそのまま、あるいはある程度分かりやすくかみ砕いて記載すればいいだけです。

一方、業務内容はなかなかそうはいかない場合もあるでしょう。
社会人として仕事をする以上、なかなか1つのテーマ、1つの業務だけに専念できるわけではありません。
そうすると、どうしても「あれもりました、これもやりました」と全て書き連ねたくなります。
十分な分量が与えられていればそれも悪くないでしょうが、①の解説で触れたとおり、欄に書き込める文章量はごく僅かです。
あれもこれも書いていては、とても内容が伝わりません。

全て書いて経験をアピールしたくなる気持ちをグッと押さえて、“その従事期間の代表作を一点”に絞って、なるべくその内容が伝わる分量で書きましょう。
いかにしっかり試験官に伝えるか、そこに力点を置きましょう。

ポイント③「「○○の計画/設計/研究/分析/試験/評価」とする」

この根拠は、一次情報のところで紹介した技術士法にあります。
そもそも技術士とは何でしょう。どのような人を技術士と定義しているのでしょう。
復習しましょう。

技術士の定義(一部抜粋)
(定義)第二条 技術士の名称を用いて科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価及びそれらの指導の業務を行う者をいう。

でしたね。
就職活動で使用する履歴書ではありません。
あくまで、自分が技術士としてふさわしい、つまり技術士の定義に沿った業務を行ってきたことをアピールする資料です。
であれば、業務内容の末尾「○○の計画/設計/研究/分析/試験/評価」となるのが必然です。

ポイント④「業務経歴は5行全て埋め、成長ストーリーをにじませる」

ここに関しては、私が技術士二次試験全般を振り返って、最も反省した点です。
かく言う私は、研究内容1つ+業務内容3つまでしか欄を埋めませんでした。
転職前の勤め先の情報をカットしてしまったり、部署異動など切りのいいタイミングで区切ろう、という無用な遠慮をしてしまい結果的に業務経歴は3行までしか欄を埋めませんでした。

なぜ、2行の欄を空欄にしてしまったことでそんなに反省しているかというと、
「”成長ストーリ―”が伝わりにくくなる」
からです。

技術士という称号は、いわば技術のプロフェッショナルとして知識、技量、経験、人格、あらゆる点で一人前である証のようなものです。
誰一人として、初めからそんな人はいないわけです。
ちょっとこっぱずかしいですが、

「これだけの経験をしたので、今の私がいます。その経験と今の私を見て存分に評価してください。」

というのが、技術士二次試験における実務経験証明書であり、口頭試験なわけです。
せっかく業務内容として5行の欄が設けられているのです。
無用な遠慮により空欄にするメリットなどないわけです。

そのことに気づいたのは、実務経験証明書を提出し終わり、筆記試験が終わって筆記の結果を待ちながら口頭試験対策をしている時でした。
口頭試験対策として、業務経歴説明の原稿づくりをしている時です。
ふと、「成長ストーリ―が大事だ」という情報を思い出しました。

「あ、この業務経歴からは成長ストーリーを感じないな。というか、2行も空欄じゃないか。なんてもったいない」

そう思っても後の祭りです。
口頭試験の対策をしながら待った筆記試験の結果は合格でしたが、業務経歴のことがずっと不安で今一つ自信を持てない状態が続きました。
後悔してばかりいても仕方ないので、「よし、口頭試験冒頭から挽回するぞ」と意気込み、対策を再開しました。

するとラッキーなことに、口頭試験冒頭で
「あたなの業務経歴を説明してください」
ときました。(よっしゃ!)と思いながら
「業務経歴で記載しませんでしたが、○○という経験を経て、□□に至り・・・」
と説明したことを思い出します。

結果、口頭試験も合格だったわけですが、自分でも消化不良のまま納得のいかない実務経験証明書を提出し悶々としながら対策することがないように、業務経歴を5行しっかり埋めて成長ストーリーを乗せて書き上げましょう。

業務内容の詳細の書き方


業務内容の詳細は、業務内容(最大5つの業務)のうち代表して1つ選んでそれについて詳しく説明するものです。
業務内容の詳細の記入例が受験案内に載っています。
受験案内には「記入例は、あくまでも参考であり、体裁や内容の構成等については任意とする」と書いてあります。
もちろん、任意で構いませんが、記入例を参考にしつつ以下のような流れがおすすめです。

「見出し(業務名)」
1.背景と課題
2.立場と役割
3.技術的提案
4.成果
5.現時点での評価

こんな流れです。
この流れで書くメリットは自身の業務経験をアピールできるだけではなく技術士のコンピテンシーも盛り込める点です。

考え方は、3枚問題(必須科目Ⅰと選択科目Ⅲ)の対策とほぼ一緒です。
それにプラスして2枚問題(選択科目Ⅱ-2)のリーダーシップ関する要素が加わります。
ですので、以下の記事も読んでいただけると、業務内容の詳細の書き方についても一層理解が深まります。

【技術士】二次試験 筆記試験の選択科目Ⅱ-2(2枚問題)の対策
選択科目Ⅱ-2は600字詰め原稿用紙の2枚問題。ある程度突っ込んだ知識が問われる要素と、実務を意識した"マネジメント"や"リーダーシップ"といったコンピテンシーも盛り込む必要があります。それらをどのように論文に落とし込むかを解説します。
【技術士】二次試験 筆記試験の3枚問題の考え方 |必須科目Ⅰ&選択科目Ⅲに対応
令和元年度以降の3枚問題(必須科目Ⅰと選択科目Ⅲ)の対策方法を伝授!問われるコンピテンシーとそれに呼応させる型があります!まずは、基本の型を身に着けると合格率UPの可能性が開けます。その型を理解したらオリジナルに改変してみてもいいでしょう!

筆記試験の論文と唯一異なる点としては、当然ですが「自身の経験として書く」点です。
ここが、2の立場と役割に反映されてきます。
このような点を踏まえて、以下に業務内容の詳細の書き方のポイントをまとめます。

  1. 720文字をフルに活用する
  2. 業務経歴の中でもできるだけ後の方(現在に近い)業務について記載する
  3. コンピテンシーを意識する
  4. 各項目を均等割り付けする
  5. 第三者に見てもらう

以上です。
上記のポイントについて解説します。

ポイント①「720文字フル活用する」

筆記試験における原稿用紙の使い方同様、はみ出しは厳禁です。
受験案内には「720字以内(図表は不可。半角文字も1字とする。)」と明記されています。
半角文字1文字とカウントした上で、720文字”以内”しっかり守りましょう。

あくまで、紙で提出しますのでいちいち全受験者の業務内容の詳細の文字数を数え上げることはしないと思いますが、ルールは絶対条件です。
どんなに優れた業務内容の詳細でも、ルール違反は一発アウトです。

全てを水の泡にしない為にも、Microsoft OfficeのWordにある文字カウント機能などなんでもいいのですが、文字数をチェックしたうえで提出しましょう。
かといって、文字数が少なすぎるのもNGです。

その理由は、業務経歴のところと同様です。
業務内容の詳細として与えられた文章量は”たったの”720文字しかないのです。
その限られた文字数に必要な情報を詰めて、さらに技術士としての資質をアピールする必要があるのです。
1文字分も無駄には出来ませんね。
はみ出さず、かつフル活用して720文字にしたためましょう

ポイント②「業務経歴の中でもできるだけ後の方(現在に近い)業務について記載する」

この理由は、業務経歴の書き方に由来します。
成長ストーリーに乗せて、業務内容を書くわけです。
当然ながら、業務経歴上の後の方により高等の専門的応用能力を発揮した、より技術士らしい業務が記載されることになるはずです。

また、個人の成長という観点意外にも、日進月歩の科学技術を扱う性質上比較的新しい業務であることが望ましいことも考慮に入れるべきでしょう。

ただ、人によっては最近は事務的な仕事が多く、過去の方が技術士としての業務に相応しかった、などそれぞれの事情があるでしょう。
ですから無理に最新の業務にする必要がはありませんが、考え方の目安として意識しておくと良いでしょう。

ポイント③「コンピテンシーを意識する」

筆記試験の必須科目や各選択科目、そして口頭試験においては受験案内中で試験内容とコンピンテンシーの対応関係について示されています。

また、それらについては別の記事で解説もしてます。
ただ、業務内容の詳細についてもコンピテンシーを問うていると考えるべきです。
繰り返しになりますが、実務経験証明書は就職活動の履歴書ではありません。
“あくまで技術士試験の一環で提出する書類”です。

そして、”技術士試験は、受験者がコンピテンシーを備えているかを審査する試験である”ことが大原則であり、それ以上でもそれ以下でもありせん。
そうである以上、業務経歴の詳細としてどのように自らのコンピテンシーを散りばめるか戦略的に考えて記載することで合格に間違いなく近づきます。
それでは、業務経歴の詳細の記載内容とコンピテンシーとの対応関係について見てみましょう。

1.背景と課題  :問題解決能力、コミュニケーション
2.立場と役割  :リーダーシップ、マネジメント、コミュニケーション
3.技術的提案  :専門的学識、問題解決能力、コミュニケーション
4.成果     :問題解決能力、コミュニケーション
5.現時点での評価:評価、コミュニケーション

上記のような対応関係にあることがわかります。
筆記試験対策の記事を読んでいただいた方はお分かりの通り、”コミュニケーション”は文章全体で問われます。

つまり、この文章全体を通して、受験者と試験官の間で文書という手段を用いた効果的な意思疎通が行われているかを見ているわけです。
端的に言えば、分かりやすい文章かどうかということです。

そして皆さん様々な業務に携わっているかとは思いますが、ここで問いたいのはあくまで技術士的業務です。
社会的な問題に対して受験者がどのようにその解決に当たっているかを問いたいわけです。
そこを踏まえたうえで、

「1.背景と課題」についてです。
ここでは、問題となりうる背景と、その背景から浮かび上がる課題が適切に設定されているか、
そしての分野の専門家として知識を活かしながら3の課題に対する解決策(技術的提案)につなげていきます。

「3.技術的提案」では背景を踏まえた課題に対する解決策を提示できているかを審査され、
1で提示した課題とセットで”専門的学識“や”問題解決能力“が問われていると言えます。

「4.成果」についてです。
ここで技術的提案の成果を示すことで、効果の検証がしっかりなされているか、ここまで明示することによって”問題解決能力“を測ろうとしています。
ただ提案しっぱなし、やりっぱなしではなく、客観的指標に基づいた効果の検証を問うという意味では筆記試験では問われないところで、まさに実務経験をアピールできるポイントとも言えるでしょう。

順番が前後しますが「2の立場と役割」についてです。
ここは意外と見落としがちかもしれませんがかなり重要です。
ここでは、「主体的であること」が必須です。
技術士の業務である、計画、設計、研究、試験、分析、評価のいずれか、またはそれらの指導の業務を「主体的役割で行った」ことを明示する必要があります。
グループの一員として行った、上司の指示で行った、などと記載してはいけません。
記載してはいけないというより、そのような業務を、業務内容の詳細としてピックアップしてはいけません。
問題提起から、課題解決、その成果の評価や報告・発表まで一貫して主体的に(主担当者あるいはリーダー)として行ったことを記載する必要があるというわけです。
つまり、”リーダーシップ“(関係者調整)や”マネジメント“(リソースの分配)を行ったというニュアンスで伝える必要があります。
そこを明示しないと口頭試験でほぼ間違いなく突っ込まれると考えていいでしょう。

最後に「5.現時点での評価」についてです。
ここでは、現時点での”評価”と入っていることからも分かる通り、”評価“能力が問われていると考えましょう。
ただ、筆記試験で問われるようなリスクの指摘にそこまで重きを置かなくてもいいでしょう。
評価とは本来、ある成果に対して良い面も悪い面も評価することです。
ですので「特性が○○%向上した」「コストが○○%カットできた」など「成果指標+その程度を示す」イメージでいいでしょう。
ただ、結果を示しっぱなしではなく、是正ポイントを挙げることも”技術士的評価”としては重要です。
「〇〇な点改善の余地がある/データが不足しているので、そこを強化することが今後の課題」などと前向きな策を提示して締めくくると好印象です。

補足として、上記には”技術者倫理”の視点が入っておりません。
現時点での評価などの項目で、技術者倫理の視点を加えてみてもいいと思いますが、文字数が非常に限られてます。
技術者倫理の視点については筆記試験や口頭試験で必ず問われますので、ここで無理に入れ込まなくてもいいでしょう。

ポイント④「各項目を均等割り付けする」

この理由は、上記で説明した通りコンピテンシーを漏れなくアピールするということに他なりません。
業務内容の詳細に記載する1~5の内容には技術士に要求されるコンピテンシーを示す要素が散りばめられています。
文章量に偏りが出ないよう、均等に割り付けして、自身が持っているコンピテンシーを漏れなく試験官に伝えましょう

ポイント⑤「第三者に見てもらう」

これに関しては、筆記試験対策の論文添削と同様です。
何においても他人の脳を借りるというのは大事なことです。
どんなに優秀な人でも、思考の偏りや先入観、言葉の誤りや分かりづらさというのは生じてしまうものです。
第三者に見てもらって、少しでもブラッシュアップしより良い状態の実務経験証明書を提出するに越したことはありません。
私は、セミナー会社の講座を利用して1回だけですが添削を受けました。
他の講師の先生や、知り合いの技術士の先生などにもう少し見てもらうべきだったと今で反省してます。
3人くらいの第三者に見てもらうのがベータ―ですね。
少しでも完成度の高い業務内容の詳細を含めた実務経験証明書を提出できれば、口頭試験を優位に進められるばかりでなく合格により近づけられます

これら、ポイントを踏まえたうえで、業務内容の詳細の例を示します。
かなり一般化しますので、言葉の置き換えや肉付けにより各自の業務に合わせて編集してくださいね。

<業務内容の詳細の例>

タイトル「A合金の機械的性質の向上に関する研究」

  1. 背景と課題
  2. A合金は自動車をはじめ輸送機器に用いられており、燃費向上のための軽量化に向けた技術開発が行われている。
    軽量化の方法として薄肉化が考えられるが、薄肉化に伴う強度低下の問題がある。
    そこで、薄肉化に耐えうる材料強度を確保するため、A合金の強度向上が課題であった。

  3. 立場と役割
  4. A合金の強度向上プロジェクトの主担当者として、研究計画の立案、実験の実施、評価、分析を行った。
    当社のプロフェクトチーム内の研究進捗管理や、共同研究先との連絡調整を図った。
    また、研究成果について、関連する学会での発表や論文投稿を行った。

  5. 技術的提案
  6. A合金の強度向上には金属組織の改良剤の添加量及び熱処理条件の最適化が有効であると考えた。
    ①改良剤の選定 ②改良剤の添加量最適化 ③熱処理プロセスの選定 ④熱処理条件の最適化 ⑤添加剤と熱処理プロセスの交互作用
    上記5項目について調査することにより、A合金の機械的性質向上を最適条件を検討した。

  7. 成果
  8. ①3種類の改良剤のうち、Bが有効であると分かり、
    ②重量比1%の添加が最適であることが分かった。
    ③熱処理プロセスは固溶化処理と時効処理の組み合わせである、プロセスCの効果が最も高かった。
    ④その温度条件としてC’を施すことで10%機械的性質が向上し、
    ⑤添加剤Bと熱処理C’の交互作用により15%機械的性質が向上した。
    考察として、金属組織の微細化硬化と析出硬化によるものと考えられる。

  9. 現時点での評価
  10. A合金は塑性加工や切削加工により成型されることを想定している。
    添加剤や熱処理の影響により被加工性の低下が懸念される。
    実用化及び生産性向上のため、被加工性の評価や加工条件の最適化が今後の課題である。

以上

あくまで例でありイメージですがこんな感じです。
筆記試験は、本番に限られた時間の中で1発勝負で手書きしないといけません。
一方、実務経験証明書は提出する前であれば何度でも書き直しが利きますし、しかも手書きしなくてもいいのです。
筆記試験の対策にかまけて、この大事な書類を疎かにしないよう丁寧に作りこんで提出しましょうね。

まとめ

いかがだったでしょうか。
受験申込の際に提出する「業務経歴と業務内容の詳細」は単なる経歴確認ではありません。
その事実を前提として、各章のポイントを振り返りましょう。

  1. はじめに|業務経歴と業務内容の詳細の位置づけ
  2. 業務経歴や業務内容の詳細はそれでもってパスするか否かを決める書類審査ではありません。
    ですが、口頭試験の諮問内容や合否に影響する超重要書類ということを忘れてはいけません。

  3. 業務経歴と業務内容の詳細の目的
  4. 以下の3つの目的があります。
     ①受験資格を満足しているかのチェック
     ②高等の専門的応用能力を発揮しているかのチェック
     ③口頭試験における話題作り
    です。
    この3つを意識するか否かで記載内容の質や方向性が変わります。

  5. 業務経歴の具体的な書き方
  6. ポイントは以下の4つです。
     ポイント①「研究内容、業務内容欄は2~3行に具体的かつ簡潔に書く」
     ポイント②「研究内容、業務内容はその該当期間に行ったものを代表して(なるべく)1つ書く」
     ポイント③「「○○の計画/設計/研究/分析/試験/評価」とする」
     ポイント④「業務経歴は5行全て埋め、成長ストーリーをにじませる」
    事務的な書類だと思って漫然と書いてはいけません。
    しっかりとポイントを押さえましょうね!

  7. 業務内容の詳細の書き方
  8. ポイントは以下4つ。
     ポイント①「720文字フル活用する」
     ポイント②「業務経歴の中でもできるだけ後の方(現在に近い)業務について記載する」
     ポイント③「コンピテンシーを意識する」
     ポイント④「各項目を均等割り付けする」
     ポイント⑤「第三者に見てもらう」
    筆記試験の3枚問題(1800字)の圧縮版(720字)だと捉えて、熱を入れて書きましょう。

以上、まとめでした!

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