【経営工学キーワード】SECIモデル

経営工学
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はじめに

経営工学に関連したキーワードを学習していて気付いたことがあります。

「多面的な視点が養われ、汎用性がめちゃ高い!」
「技術士二次試験の経営工学部門に限らず、多くの部門に応用可能な知識や方法論が満載!」

ということで、技術士二次試験(経営工学部門)の対策をしている時にまとめてきたキーワード集をほとんどそのままご紹介!
本経営工学キーワードシリーズの記事の特徴として、ある1つのキーワードをについて

  1. キーワード名
  2. キーワードを取り巻く背景
  3. 原理と特徴
  4. 問題点
  5. 解決策
  6. 応用例
  7. 今後の展望

これらのような、あるいはこれらに近い視点でまとめています。
これはそのまま、技術士二次試験対策に直結するまとめ方です。

このシリーズの記事は次のような方にオススメです!

  • 技術士二次試験(経営工学部門)受験予定の方
  • 技術士二次試験(経営工学部門以外)の受験予定の方
  • 技術士に興味はないけど、経営工学を勉強したい方

ぜひ、それぞれの目的に合わせて勉強にもお役立てください!

キーワード名

SECIモデル

定義

SECI(セキ)モデルとは、個人が蓄積した知識や経験(暗黙知)を組織全体で共有して形式知化し、新たな発見を得るための手法である。
個人のもつ知識を全社で共有して、新たな知識を生み出し経営に活かすフレームワークであり、4つの変換プロセスで構成されている。

一橋大学大学院教授の野中郁次郎氏らが提唱し、広義のナレッジマネジメントにおける基礎理論として用いられている。

具体的なプロセス

SECIとは、

  1. Socialazation:共同化
  2. Externalization:表出化
  3. Combination:連結化
  4. Internalization:内面化

の頭文字を意味している。
これらのプロセスはスパイラル構造となっており、以下のように、絶えず繰り返す。

共同化(暗黙知→暗黙知)⇒表出化(暗黙知→形式知)⇒連結化(形式知→形式知)⇒内面化(形式知→暗黙知)⇒共同化・・・

このプロセスによりより高いレベルの知識を生み出すことができる。

〇共同化プロセス
共同化は何らかの経験を通して暗黙知を他人に移転させるプロセス。
この段階では暗黙知として移転できればOK。
そのため、言葉やマニュアル化(形式知化)せずに、体を動かしたり五感を使って知識を共有するプロセスと言える。

例)

  • 実務を通して先輩の技能や知識を身に付ける
  • 一緒に営業周りに行く

〇表出化プロセス
表出化は個人が所有する暗黙知を言葉に出し、参加メンバーに共有するプロセス。
個人が蓄積してきた知識や経験を言葉にしたり、図や文章で示したりして知識を形式知化する。
主観的な知識を共有する共同化に比べ、表出化は客観的かつ論理的に他者に伝えるプロセスとなる。

例)

  • ミーティングで上司や同僚へ業務の細かな報告を行う
  • 業務マニュアルを作成する

〇連結化プロセス
結合化は、表出された形式知に異なる形式知を組み合わせることで、新たな知を創造するプロセス。
マニュアル化された他者の知識やミーティングなどで共有されたノウハウを実践する際、自身の業務や環境にあうようにアレンジしてみたり、よりよくするために新たなシステムを導入するなどの工夫を加える。
この結果、新たなアイディアや知識が生まれるのが連結化のプロセス。

例)

  • 他部署での成功事例を参考に業務効率化を図る
  • 上司や同僚の仕事のコツを聞いて自身で試してみる

〇内面化プロセス
内面化は、新たに得た形式知を反復練習を通して体に染み込ませるプロセス。
結合化プロセスで見出された新たなアイディアを実践して自身の糧とした段階であり、ここで形式知を暗黙知に変化させる。

例)

  • 新たに導入したソフトウェアをマニュアルなしに操作できるようになった
  • 上司や同僚の仕事のコツを参考に実践した結果、自身の業務の質が向上した

SECIモデルの適用場面

SECIモデルでは、4つのプロセスを行うのに適した「場」があるとされている。
具体的には以下の4つの場を指す。

【SECIモデルの4つの場と事例】

  • 創発場:休憩室やランチ会など、気軽な場での会話から知識の交換を行う
  • 対話場:ミーティングなど、本格的なディスカッションを行い知識を共有する
  • システム場:ナレッジマネジメントツールなどでお互いの形式知を結合化させる
  • 実践場:特定の場所は想定せず、各々個々人が実践をする

これらの場面についてより具体的に解説する。

〇創発場
創発場は共同化プロセスで必要です。
共同化の際には、共同で作業をしたり一緒に業務に携わったりしなければ伝えられないことも多いが、ランチ会や休憩室での会話といった気軽なコミュニケーションのなかで知識を交換するケースもある。

例)

  • ランチ会や飲み会など食事の場
  • 社内での立ち話や休憩中の会話
  • トップが社内を歩き回りオープンなコミュニケーションを図る

〇対話場
表出化プロセスで重要とされる場。
会議を行ったり業務マニュアルを作成したりする過程で、暗黙知を形式知化する。
対話しただけで満足してしまわないよう、目的をもって行うことがポイント。

例)

  • 定期ミーティングや全社会議
  • 社員合宿

〇システム場
システム場は結合化プロセスの際に用いられる。
ここでは形式知同士を組み合わせて新たなアイディアを生み出す段階であるため、従業員同士がテキストや図を共有しながら話し合える場にする。
リアルタイムで更新できる資料を共有しながら会議を行うのがおすすめ。
また、対面の場よりオンラインミーティングのほうがURLや資料の共有がしやすいケースもある。

例)

  • 社内SNSやチャットツール上でのディスカッション
  • Googleドキュメントやスプレッドシートの共有
  • オンラインミーティング

〇実践場
実践場は新たなアイディアを自分のものにする内面化プロセスで必要とされる。
ここでは従業員一人ひとりが形式知を繰り返し実践して知識を習得するため、特定の場を設定するものではない。
実際に試してみるほか、シミュレーションを繰り返すのもよい。

例)

  • 自身のデスクや作業スペース

SECIモデルを成功させるポイント

〇継続して繰り返せる仕組みを作る
SECIモデルは4つのプロセスをこなしただけでは完結しない。
共同化から内面化までのプロセスを何度も繰り返して企業の知識資産を増大させ、経営活動に活かすことが目的となるため、スパイラルの反復が必要。

しかし最終的なゴールが不明確なため、成果を評価しづらかったり途中で運用が滞ってしまう懸念がある。
導入前後の成果が可視化できるようなシステムや、プロジェクトチームに対する評価方法の構築が求められる。

〇暗黙知が表出化しやすい体制を整える
個々のもつ知識を表出化して共有するのがSECIモデルひいてはナレッジマネジメントの手法と言える。
しかし、高度な技術をもつ従業員が自身の知識を共有するメリットはない。
むしろ自身の経験から得たノウハウを同僚に知られたくないと考える従業員もいるかもしれない。

SECIモデルを導入する際には広報的に知識を募るだけでなく、表出化する場を定期的に作ったり表出化することへのインセンティブを用意したりと、知識が集まりやすい体制を整える必要がある。

〇ツールを導入し知識資産を最大限活用する
せっかく集めた知識を形式知化しても、誰もが気軽に引き出せるようにしなくては意味がない。
例えば、

「業務で不明点があった時にマニュアルがすぐに見つけられない」
「ナレッジベースの検索性が悪くて使わなくなった」

などの事態は、結合化による新たなアイディアが生み出されにくい環境を作る。
こうした事態を未然に防ぐために以下のようなツールの導入が効果的。

  • 社内FAQシステム
  • ナレッジマネジメントツール
  • eラーニングシステム
  • グループウェアで社内ポータルを構築

知識と知識の相乗効果・化学反応によってアレンジ性と創造性が向上する。
結合化と内面化のステップを後押しするツールともいえる。

ナレッジマネジメントによる将来の展望

SECIモデルを意識しながらナレッジマネジメントを行うことで、個人のもつ知識や技能をレベルアップさせられます。
ひいては、その結果として企業全体の知識資産を増大でき、組織力もアップし売上・利益・社会貢献性の向上にも寄与する。

なおSECIモデルを効率的に繰り返すには、ナレッジマネジメントツールの導入が推奨される。
SECIモデルの運用に課題を感じている、またはSECIモデルを活用したいリーダーや経営者は、合わせてナレッジマネジメントツールの導入も検討し、スピーディーに実行に移すことが望まれる。

参考

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